「広がれボランティアの輪」連絡会議 国際PT連続勉強会

いまさら聞けない!地域de多文化共生~「包摂」「共生」のあり方を考える~

2025年12月8日(月)14:00~16:00(オンライン開催/参加費無料)


◆企画のポイント

【Point1】「いまさら聞けない」多文化共生を学ぶ一歩になります!

【Point2】「オンライン 」でどこでも気軽に参加できます

【Point3】参加費は無料です


◆参加申込はこちら

申込受付は終了しました


◆勉強会プログラム

【テーマ】

いまさら聞けない!地域de多文化共生 ~「包摂」「共生」のあり方を考える~

【講師】

  • 畝本 彩美 さん(認定NPO法人Hands On Tokyo 共同事務局長/特定非営利活動法人障害平等研修フォーラム理事)
  • 温井 立央 さん(「在日クルド人と共に」代表理事)

【日  時】2025年12月8日(月)14:00~16:00

【参加方法】オンライン(Zoom)

【参加対象】ボランティア・市民活動推進者、関心のある方ならばどなたでも

【参 加  費】無  料

【趣旨】

 国際PTでは、これまで、日本に暮らす外国ルーツの人たちの課題に対応するボランティア活動にフォーカスを当て、調査や勉強会を行ってきました。

 これらの取り組みを通じ、国際PTの議論の中で、改めて「『多文化共生』とは何か?」という疑問が提起され、2023年度から2024年度にかけて、「いまさら聞けない!地域de多文化共生」をテーマに連続勉強会を開催してきました。

 これらを踏まえて国際PTが再認識したのは、「人々がともに地域で暮らしていく『共生』を考えるには、外国ルーツの人々のことだけでなく、障害のある人々や性的マイノリティなど、多様な人々の『包摂』の問題を含めて議論する必要がある」ということです。

 従来の「包摂」や「共生」という議論では、実際には単純な構図では捉えきれない多層性があるにもかかわらず、「受け入れる側(社会・地域・制度)」と「受け入れられる側」という二項対立的なモデルが前提になることが多くあります。こうしたことも踏まえて、ボランティア活動を展開させていくには、「包摂」「共生」について再考する必要があります。

 そこで、これからのボランティア活動の推進に向けて、「包摂」「共生」のあり方をあらためて考える機会として、本勉強会を開催しました。

【プログラム概要】

 

  • 講演
  • 質疑応答
  • グループに分かれてのディスカッション

畝本彩美さんのお話

  • ハンズオン東京で働きながら(フルタイム)、障害平等研修のファシリテーターとして障害理解促進のための活動をしています。
  • 先天性の弱視で、全色盲です。
  • 10代・20代は、いわゆる「健常者」と言われる人たちと一緒に生活するなかで漠然と「みんなと違って私は自分自身が望むこと・やりたいことはできない」という諦めの気持ちが常にありました。
  • 大きな転機となったのが海外での体験で、ある企業のプログラムでアメリカに留学しました。サンフランシスコで生活していたのですが、自分が違う・浮いていると思うことはなく、みんな違うという前提で生活しているという共通認識があったと思います。例えばスーパーやコンビニのレジで時間がかかっていた時、日本では「すいません」と謝っていましたが、アメリカでは「そこは謝っちゃだめだよ」と言われました。自分のペースで何かするのに、人に謝る必要はないと理解したのです。
  • 2012年には1カ月、青年海外協力隊の短期派遣プログラムでバングラデシュに行きました。ある地方の、一日の半分くらい電気が来ない村で、障害当事者が少し前から仕事を始めたと聞きました。「ちょっと前まではこの人おうちにいたんだけど、職場で一緒に作業できるんだよ、こんなこともできる」と村の人たちが自信満々に言うのに衝撃を受けました。バングラデシュはまだまだ障害に対して偏見や差別がありますが、しっかりとした周りの理解があれば、ちゃんと働くことができ、それを回りの人が誇りを持って話す姿に大きな勇気をもらいました。
  • 大学卒業後、最初は商社で働いていましたが、2016年の相模原障害者施設殺傷事件(神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員により入所者19人が殺害され26人が負傷した)を受けて、このまま会社員として働いていていいのか疑問を持つようになりました。
  • 植松死刑囚は、「障害者やコミュニケーションが取れない人は生きている価値がない」と言いましたが、その意見に程度の差はあっても賛同する一定数の人が社会にいるのではないでしょうか。そうであればこの事件は誰もが起こしうる可能性があるわけです。私は白杖をつくこともありますが、その私に危害を加える人がいるかもしれない。障害のある私の大事な友だちがそういう目にあうかもしれない。そんな社会で生きるのはあまりにつらい。
  • そこで自分に何かできることがないかと思っていたときに、たまたま出逢ったのが障害平等研修です。これは、障害者自身がファシリテーター(対話の進行役)となって進める、差別や排除としての障害という課題を学ぶ学習です。自分も研修の担い手として、オリンピックの前のダイバーシティ・インクルージョンの研修をはじめ、できることを着実にやっていくことが相模原障害者施設殺傷事件のようなことを繰り返さないことにつながると信じています。
    • ※ 障害平等研修については→ https://detforum.org/?page_id=829 
  • その後、ハンズオンで働くことになりました。ミッションは、「コミュニティのニーズに合った有意義なボランティア活動の場を二か国語で提供することにより、社会へ貢献し、ボランティアリズムを浸透させ、リーダーたちを育成すること」です。もともとは、2006年にパートナーの転勤でアメリカから日本に来た方が、アメリカにいたときのようにボランティアをしようとしたが、日本語が話せないということで参加できなかったので、バイリンガルの友人に手伝いをお願いしたところから始まったということです。
    • ※ 詳しくは→ https://www.handsontokyo.org/topics/5/ 
  • ハンズオンの活動と障害平等研修を通して、「助ける側」「助けられる側」という壁を越えたいと考えています。例えば、清掃活動に私が行ったとします。私はごみを拾うことはできません。でも私に、「ボランティアに来ないでください」と言うのは違いますよね。私はごみ袋を渡したり、分別の説明をしたりすることはできます。何かができる人が活動に来てくれるのはありがたいが、何かができないと来ることができない場所にしないように気をつけています。
  • 障害平等研修は、障害とは社会参加を阻む障壁であるという「障害の社会モデル」の考え方を基礎にしていますが、この視点を一人でも多くの人に持ってもらいたいです。社会の仕組みや制度を変えていくためのベースが人権教育です。
  • 今、「社会を分けようとしてくる力」が非常に強くなっています。例えば「障害者と健常者」「外国人と日本人」。ハンズオンの活動でも、外国ルーツの人たち(旅行者も含む)の「何かコミュニティの役に立ちたい」という気持ちを身近で見てきました。そういった想いを発信していきたいです。もともと混ざっていたものを切り分けていこうとする流れに抗っていくことが市民活動に必要ではないでしょうか。
  • 最後に、『ピア・ボランティア世界へ』(久野 研二編)という本の中から引用して終わります。「『当事者にしかわかりえない』という立場を引き受けた上で、それでもなお、相手を理解しようという共感への強い意志をもつこと、そして、『きっとできる』『大丈夫』と、相手の可能性を徹底的に信じる。そうすることによって私は、現地の障害者と一緒に歩むピア・ボランティアを目指したい。」

 


温井立央さんのお話

  • 2021年12月に団体を立ち上げ、埼玉県の蕨市・川口市で活動しています。活動内容としては、日本語教室(大人・子ども向け)、医療支援(健康保険未加入者への同行・費用の交渉)、交流イベント(多文化フェス、写真展)、難民・入管問題への提言(シンポジウム、講演会)など、多岐にわたる支援と社会との相互理解促進です。
    • ※ 詳しくは→ https://kurd-tomoni.com/ 
  • まずクルド人について説明します。クルド人は推定人口2,000万人から3,000万人といわれ、国を持たない最大の民族です。クルド人が住む地域はクルディスタンと呼ばれています。
  • クルド人が最も多く暮らすトルコは、同化政策が過酷で「クルド人」の存在自体を認めず、辞書からもクルドという言葉を削除し、クルド語を禁止しました。そんななか、1990年代から日本に難民として逃れてくるようになり、ほとんどの人が難民申請をしていますが、認定されたのはこれまで1人だけです(2022年)。カナダでは97.5%の1,967人(2019年)が難民認定されています。ちなみに日本では2023年にトルコ国籍の人が3人認定されていますが、その民族は分かりません。
  • 2024年6月現在の在留外国人統計によると、日本に暮らすトルコ国籍の人々は7,571人で、1番多い埼玉県が2,441人。埼玉県内では川口市が最も多く1,579人が暮らしています。蕨市は78人に過ぎません。そのほかに在留資格のない非正規滞在の仮放免の人が700人ほどいるので、埼玉県内には約3,000人のトルコ国籍の人々が暮らしており、大半がクルド人であると推測されています。
  • もともと蕨市・川口市は多くの外国籍の人が住んでいますが、外国人に対するヘイトスピーチが2009年から始まりました。2016年に「ヘイトスピーチ解消法」が成立し、ヘイトデモは一時的に減りましたが、断続的に続いています。クルド人に対しては2023年から始まりました。
  • 2023年6月、川口市議会は「善良な外国人への差別や偏見を助長」しないようにと「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」を採択しましたが、そもそも属性と犯罪を結び付けること自体が差別や偏見を助長するものでした。さらに意見書採択後に、一つのターニングポイントとなる事件が起きました。
  • それが2023年7月に発生した騒動です。クルド人同士の喧嘩によるケガ人が川口市内の病院に運ばれ、その家族約100人が病院周辺に集まり、混乱が生じたのです。
  • この事件がきっかけとなり、クルド人へのヘイトスピーチや差別、嫌がらせが激しくなりました。私たちの団体や日本クルド文化協会に、大量の「殺す」「死ね」といったメールや電話がくるようになりました。
  • クルド人は解体業で働いている人が多いのですが、解体現場にあるクルド人の業者の登録票に「死ね」、日本人の工事発注者の書類に「売国奴」と書かれていたり、防塵シートがカッターナイフで切り裂かれていたりといったことも起きています。
  • 国は「不法滞在者ゼロプラン」を掲げ、川口市議会もその着実な実行を求める意見書を2025年9月30日に採択しました。
  • 実際、強制的に送還される仮放免の人が増えています。家族ごと送還されるケースもあれば、家族のなかで父親だけが送還され、子どもが大きなショックを受けることも。また、学校教員のなかには、教えていた子どもが突然送還され、いなくなってしまったことに愕然としている人もいます。
  • 私たちは地域住民とクルド人の間に入って活動しています。特に日本語教室ではボランティアと学習者が一緒に遊んだり、お互いの言語を学んだりすることを通して、同時代を生きる一人の人間なのだと感じています。
  • 在留資格がなくなり学校から除籍になった小学生の女の子がさいたま市にいました。日本は子どもの権利条約を批准しているので、在留資格の有無にかかわらず、子どもは教育を受ける権利があるのですが、さいたま市の教育委員会は理解していませんでした。私たちが抗議し、新聞で報道されたことで、教育長は誤りを認めて謝罪し、女の子は半年ぶりに復学しました。
  • 外国人と地域社会との間でよく問題になるごみ出しですが、分別についてイラストとトルコ語で説明した1枚の紙を渡すとトラブルは減りました。
  • 共生のためのフェスティバルもやっています。クルド人だけではなくウクライナ、ベトナム、フィリピン、ナイジェリア、朝鮮学校の人も入っており、今年で3回目でした。最後はみんなで踊り、参加した人には大変喜んでいただきました。ただ、同じ日に川口駅前では外国人排斥の街宣をしていた人物がいたのが残念です。
  • 畝本さんがお話されたように、いろんな人が活躍できる社会を、これからつくらなくてはいけない。同時に、人権が尊重される社会になってほしいと思います。