勉強会プロジェクト・チーム(PT)により企画・運営し、ボランティア・市民活動に関心のあるみなさんに参加を呼びかけています。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めてから2年が経過し、地域においてはこれまでのさまざまな課題がより顕在化しています。
こうしたなかでもボランティア・市民活動は、地域の課題を解決するため、ひとつの分野に留まらない人々や団体が、連携・協働しながら取り組んでいます。
そこで、今年の「広がれボランティアの輪」連絡会議 勉強会では、ボランティア・市民活動における「連携・協働」とは何か? コロナ禍での連携・協働の取り組みの実際を学ぶとともに、参加者のみなさんによる情報交換を通じて、ボランティア・市民活動における「連携・協働」のこれからを考えることとし、オンラインで開催しましたのでご紹介します。
【開催日時】2022年2月2日(水)13時30分~16時
【開催方法】オンライン開催(Zoom)
【参加者】全国のボランティア・市民活動を推進する方々
(当日の参加約140名)
開会あいさつの上野谷会長と司会を務めた「広がれ」勉強会プロジェクト・チーム(勉強会PT)メンバーのみなさん
◆基調講演「ボランティア・市民活動における連携・協働を考える」
日本大学文理学部社会福祉学科教授 諏訪徹さん
上野谷加代子会長から開会あいさつの後、諏訪さんからはあらためて「協働」とは何か?阿部志郎さん(横須賀基督教社会館会長)による定義の紹介に始まり、さまざまな団体等による「協働の実際」についてお話しいただきました。
諏訪さんの「協働しなければならないものではない」「ボランタリーな活動なのだから、仲良く・楽しく・無理せず、細く・長く今の活動を続けていくという選択も立派な見識」「特に中間支援組織・推進機関は協働を「是」「必要」と考えがちだが、協働するのが当然というスタンスは要注意」とのご指摘に、多くの参加のみなさんからも納得の声がありました。
そのうえで「やはり協働には意義がある」「協働で新しい刺激をうけたり、資源がもたらされることで、新しい視野・気づきが得られたり、新しいメンバーが入ったり、活動が発展していくきっかけとなる」との話が続きました。
また「協働のコツ・方法」のご紹介もあり、参加の皆さまの活動にとっておおいに参考となったほか、最後に「コロナ禍と協働」に関して「こんな時こそ動かなきゃとメンバーが強く思った」「感染予防について信頼できる専門家の助言を得た」「たくさん集めるのではなく小さく集まる、離れていても一緒に取り組む、という新しいつながり方」があるとの話に、参加者からは「基調講演の内容を噛みしめ認識を深め、自分たちの活動に活かしたい」との感想がありました。
◆事例紹介-1「阪神・淡路大震災からのコミュニティにおけるつながりつくり」
認定NPO法人 コミュニティ・サポートセンター神戸 理事長 中村順子さん
続いて事例発表として2題、まず認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸(CS神戸)の中村さんからは、阪神・淡路大震災直後から取り組まれている市民が市民を支える活動のご紹介がありました。
阪神・淡路大震災からの教訓として「身内から、皆への活動に(自助から共助へ)」「助けられる側から助ける側へ(被災者からの脱却)」があるとのお話があり、そのあとのCS神戸が第三次行動として大きく「FOOD」「CARE」「CULTURE」の3つの分野での多彩なボランティア・市民活動へ発展したプロセスのお話がありました。
また最後に個人として「挨拶をする」「声をかける」行動と、組織として「新たな人に情報を提供する」「アイデア、相談に乗る」「拠点情報、紹介」などの活動が、「つながりののりしろ」となってつながりつくりになる、個人も組織も絶えず努力し続けることが大切だと強調されました。
◆事例紹介-2「ふらっとカフェ鎌倉~食を通じた多世代型居場所づくりの連携・協働実践」
一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉 理事長 渡邉公子さん
続いての事例発表は、鎌倉で移動式地域食堂「みんたべ」(みんなで食べる食堂)や食品ロス削減と食糧支援として「フードパントリー」の事業を展開しているふらっとカフェ鎌倉の渡邉さんからのお話でした。
移動式地域食堂「みんたべ」は、鎌倉の各レストランの定休日を使い、夕方を中心に開催し、コロナ禍前では小さいお子さんから高齢者まで幅広い世代の参加により過去3年間で123回開催し、盛会であったものが、コロナ禍では開催は激減したものの、テイクアウトも開始するなど小さく細く活動を継続されたとのこと。
また、フードパントリーでは鎌倉市との連携、ガバメントクラウドを実施し、目標金額100万円を大幅に超える200万円以上の寄付が寄せられると同時に市内外・県外からも多くの食材寄付が寄せられました。
最後に、ふらっとカフェ鎌倉として大切にされていることとして支援側とされる側共に「平等(対等)であること」「地域住民を巻き込んだ活動」であること、また「誰と一緒にやるか・巻き込むか」「対面・関わり続けること」を強調され、「市民一人一人の力は小さな力でも集まれば大きな力となる」と結ばれました。参加の皆さまからも渡邉さんのエールに共感される声が届いています。
◆グループ討議
最後のセッションはZoomのブレイクアウトルームに参加の皆さんが分かれて「連携・協働の取組みの実際」「どのような連携・協働をめざすか」について意見交換を行いました。
閉会にあたり原田正樹副会長のあいさつがあり、今回の勉強会は盛会のうち終了しました。ご登壇いただきました諏訪さん、中村さん、渡邉さん、誠にありがとうございました。またご参加いただいた全国のみなさん、今後ともコロナ禍に負けず本日の学びをこれからの実践活動の参考になさっていただきたいと思います。
◆当日は「広がれ」勉強会PTメンバーにより配信・運営
今回の勉強会は、講演された渡邉さん以外の登壇者の皆さまと上野谷会長、原田副会長、全ての参加者のみなさんは完全オンライン参加となりました。事務局スタッフは、全国社会福祉協議会の会議室にて、感染症対策を万全にオンラインサポートにあたりました。
オンライン配信をサポートする「広がれ」勉強会PTメンバー(日本生活協同組合連合会、日本赤十字社、さわやか福祉財団、児童健全育成推進財団、全国社会福祉協議会)
ボランティア・市民活動の「連携・協働」を考える~コロナ禍を乗り越え、楽しく活動を進め、よりよい地域をつくる~
コロナ禍では、人と人とが互いに接触する機会を減らすことを求められてきました。ボランティア・市民活動も、活動を制限したり、それまでの活動の方法を見直さざるを得ない状況が続いています。
一方、子どもや子育て世帯の貧困、不登校や学習課題、高齢者・障害者の社会的孤立、外国をルーツとする人々の生活など、社会のさまざまな分野に多くの課題が輻輳して生じています。ボランティア・市民活動は、こうしたなかでも地域の課題を解決するため、一つの分野に留まらない人々や団体が、連携・協働しながら取り組んでいます。
今回の「広がれボランティアの輪」連絡会議勉強会では、ボランティア・市民活動における「連携・協働」とは何か、またコロナ禍での連携・協働の取り組みを学ぶとともに、参加者による情報交換を通じて、ボランティア・市民活動における「連携・協働」のこれからを考えます。
プログラム
◆日時
2022年2月2日(水)13時30分~16時(2時間30分)
◆開会あいさつ
上野谷加代子(「広がれボランティアの輪」連絡会議 会長)
◆基調講演(40分)
「ボランティア・市民活動における連携・協働」
諏訪 徹さん(日本大学文理学部社会福祉学科 教授)
【諏訪さんの研究・活動はこちら(日本大学ホームページへリンク)】
◆事例紹介(各20分・計40分)
(1)阪神・淡路大震災からの30年近いコミュニティづくりと連携・協働
中村順子さん(兵庫県 認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸 理事長)
(2)食を通じた多世代型居場所づくりの連携・協働実践
渡邉公子さん(神奈川県 一般社団法人 ふらっとカフェ鎌倉 代表理事)
◆グループ討議(40分)
「連携・協働の取り組みの実際」「どのような連携・協働をめざすか」をテーマに、情報交換を行います。
◆閉会あいさつ
原田正樹(「広がれボランティアの輪」連絡会議 副会長)
これまでに開催した勉強会は、こちらからご覧ください。